バーチャルワールド

いまさらなのだが、
ネットの世界をバーチャルワールドや仮想世界とかいって、リアルワールド(現実世界)と区別・対比した言い方をするが、いつまでそういう言い方をするんだろう。
今やネットの世界は、現実世界の一部になっていると思うのだが。
これらの二つを別物のように扱うことには常々違和感を感じている。


ネットワークでコミュニケーションをとることは、(音声)電話やTV電話で離れた人とコミュニケーションをとることと同じである。
後者は空間を越えてコミュニケーションがとれるのに対し、前者は時間をも越えて(時間の制約にとらわれずにといった方がよいか)、コミュニケーションをとることができるだけ、ということだろう。

ネット上のサービスをうけることも、それが純粋にデジタルなものであったとしても、人の活動の一環にすぎない。それは、電車を利用したりすることと本質的には違いはないと言えるのではないだろうか。


「物」という手に取れる実物から構成される「空間」と、ネット上の「デジタル」や「ビット」という直接は手にとることができない「モノ」、そういう「モノ」で構成された「空間」を区別する意味で、「リアル空間」に対し「ネット空間」や「デジタル空間」とかいう言い方は理解できる。


TV番組などで、「バーチャル」な世界という言い方をして、そこが何か特別に危険なところ、不安なところというネガティブなイメージを持たせるような誘導をすることが多いこともいかがなものか(まったくTVなんて大衆迎合的なメディアになってしまった)。


そろそろ、ネット空間を、現実空間と区別した物事の言い方、考え方はする必要のないときだろう。
10年前までは、「現実空間」に閉じていた人の活動空間が、「ネット空間」に広がっただけにすぎない。
150年前、日本人の活動空間は、「日本」に閉じていた。それが飛行機という交通機関の発達によって、「地球中」にひろがった。
100年後、宇宙旅行が普及し、月に普通にいけるようになった時、人の活動空間が地球表面という活動空間が広がるだけだということは、今でもフツーの人にとっても違和感ないだろう。
「ネット空間」というのは、それと同じにすぎないのだと思う。「ネット空間」も「現実世界」の一部にすぎない。


"BSアニメ夜話「電脳コイル」(再放送)"をみながら